今年2月末、北海道緊急事態宣言から突然始まった全社的なテレワークでは様々な気づきがありましたので、ここらで一旦まとめてみようと思います。
実態調査データとして何かのお役に立てれば良いなと思いつつ…。
全社的テレワーク前は…
Web制作という業種は、テレワークとの相性はもともと良いと思います。
IDEACDでは普段から各種Webツール(メール、Salesforce、Backlog、Slack など)を中心としてお仕事をまわしていますし、一人一台のノートパソコンが支給されています。
お客様とやりとりする職種には携帯電話も支給されますから、通話料金を自腹で支払う必要もありません。
しかし。
部分的なテレワークは日常茶飯事でしたが、
全社的・1日中・毎日、となれば勝手が違ってきます。
業種を軸として、今年3月から数ヶ月続いたテレワークを振り返ってみたいと思います。
職種別にみたテレワーク適正!?
Webディレクター[テレワーク適正:★★★★]

普段からテレワーク体質な職種。主にメール、チャットツール、時には電話を併用してコミュニケーションをとります。
メンバーとのやりとりは事務所にいなくとも実現できますが、お客様に対してはご要望に合わせて、顔を突き合わせてのお打ち合わせとなる場合が多いです。
個人的にも不慣れだったり複雑な話は、お客様に限らず顔を突き合わせてが安心だと感じます。
そのため、勤務状態として事務所に常駐している必要はないけれど、人と直に合うことは避けられない職種と感じています。
Good !
『 普段からメールや電話でのやりとりが主のため、特段困ったことはなかった 』
『 客先への移動の際、事務所を経由しないほうが距離少なく効率よく回れる 』
Bad …
『 不慣れな話などは相談しないと進められないためテレワークでのコミュニケーションレベルでは不安 』
『 チームとして複数人に連絡を取る必要があるためマルチタスクの際はとても効率が悪かった 』
Webデザイナー[テレワーク適正:★★★★]

作業自体はどこで行っても問題なし。
しかし、対応すべきことが具体的な数値で表せない場合も多い、デザインという仕事。
メンバーとのやり取り時には工夫が必要と感じます。
文章だけでなくリアルタイムな双方向コミュニケーションが可能なツール(電話やzoom)の使用が万全な環境でのテレワークが必須となりそうです。
Good !
『1人きりで集中できる、出退勤の移動が無いのが良い 』
『 休憩の質が高まる 』
Bad …
『 少しの修正など口頭で言えば一瞬で済むことがツールを通じて文面で、となるとタイムロスになる、ニュアンスが伝わりづらい』
『 素材など扱うデータが大きい場合、ネット環境によってはやりとりに無駄に時間がかかる 』
コーダー[テレワーク適正:★★★★★]

作業自体はどこで行っても問題なし。対応すべきことが数値化できるため、成果物を完成させるにあたってのテレワーク的障壁も少ない。おそらくテレワーク最適職。
Good !
『 集中しやすい 』
『 口頭だけの指示が減り、文字で内容が残るので「言った言わない」論争が発生しない 』
Bad …
『 ツールで文章での確認だと口頭よりレスポンスに時間がかかってしまう 』
総務・経理など[テレワーク適正:★]

テレワークできなくもないけれど連日だと無理が生じる職種。
契約や毎月の請求などでの書類作成・捺印作業が発生しますし、
過去の書類が印刷された紙で事務所で管理されている部分も多いため、出社が必須になりがち。
Bad …
『 テレワークで完結できない場合作業が分断されることがあり、業務再開時の確認作業が増えた 』
『 わざわざテレワーク用に業務を取っておいたりする動きが増え、やりづらい 』
職種の適性だけでは計れないこと
職種ごとのテレワーク適正をまとめてみましたが、チームとして仕事を進めているなか、職種だけでは計れないものがあります。次の2つです。
- 業務への習熟度
- 個人のパーソナリティ
これらが絡むと、★5つのはずのお仕事が★1つに豹変しますから要注意です。
例えば新人ディレクターがコーダーに指示を出したり相談したりするとき。
文章だけで理解し合うことは難しいでしょう。
理解力も人それぞれ。一を聞いて十を知るタイプの人もいれば、そうでない人もいる。
早合点する人、詳細な説明がないと一歩も動けない人、などなど。
性格の面でも、人に気軽に相談できる人もいれば、そうでない人もいる。
そうは言っても…。
でも、顔を突き合わせて打ち合わせすれば 万事解決ではない ことは皆さんご存知ですよね。
言葉を尽くしても、行き違ってしまうことは多々あります。

そもそも、コミュニケーションは不確実なもの。
テレワークだとその度合いが高くなるんですね。
Web会議なら顔が映るから大丈夫!?
…決してそうではないんですよね。。
(電話じゃ足りないけど合う前にワンクッション、の手段ができたことは大変ありがたいですが)
人間のコミュニケーションというものは、想像以上に様々な要素が絡み合っているんですね。
職種によって、人によって、案件によって、
最適なコミュニケーション手段を模索していかないとなりませんね。
意外だった問題点、相反する意見
ネットさえつながればできるお仕事と思われがちですが、実際には、
自宅にサブディスプレイがないため作業がしづらい、長時間座れる椅子がなく体が痛くなった、
自宅のネット回線ではデータのやりとりに時間がかかる、という問題点も見えてきました。
一方、自宅のほうが会社より環境が良いという人も。
職種により、また個人によってもテレワークの感想は様々でしたが、
全員が感じた恩恵、それは 通勤時間が必要ない こと。
しかしそれすらも「自分にとっては通勤時間が気分転換や運動にもなっている」という意見もあり。
また、自宅での作業はストレスが少なくてすむけれど、
反面、緊張感を保てない、プライベートとの切換えが難しい、という意見も。
まとめ
全社的なテレワークで個別の問題点は見えてきましたが、
制作陣はおおむね業務に支障がなかったことも事実です。
これは業種としての大きな利点。
あとは、会社がどこまで個人差に合わせた環境を提供していけるか。
個人がどこまで、テレワーク前と変わらぬ技術力・クオリティとスピードを提供していけるか。
そして、どうやってコミュニケーションの質をあげていけるかがポイントと思ってます。
せっかく会社というチームで働いているのですから、コミュニケーションを上手にデザインして、個を大切にしながら皆で働いていければよいなと思います。

個人的にはテレワークで通勤時間がカットできるのは嬉しい。本当に効率的だと思います。
こんな時代が訪れるとは…。わからないものですね。